高専生をはじめとした学生対象のコンテストを紹介します!
今回紹介するコンテストは「飛行ロボコン」です!
- 全日本学生室内飛行ロボットコンテスト(通称:飛行ロボコン)とは
- 大会について
- 飛行ロボコンの特徴
- まとめ
全日本学生室内飛行ロボットコンテスト(通称:飛行ロボコン)とは
全日本学生室内飛行ロボットコンテストとは、学生だけで構成されたチームが、
自分たちで設計・製作を行ったオリジナルの模型飛行機を室内で飛行させて、
規定されたミッションの達成度を競う大会です。
大会は4部門で行われ、参加者は機体の種類や特徴から参加部門を決めます。
審査方法は、部門ごとに設定されたミッションの達成度に加えて、
製作した模型飛行機の特徴を説明するポスターセッションや、
機体のデザイン性・オリジナル性も評価の対象になります。
大会には「飛行可能な機体」という参加条件があり、この高いハードルを乗り越えたチームが参加してきます。
大会について
大会開催日程
大会は例年9月頃に開催され、3日間の日程で行われます。
1日目:設営・参加チーム受付・機体審査・飛行練習
2日目:開会式・予選
3日目:決勝・閉会式
出場機体について
この大会には、
飛行機タイプ・飛行船タイプ・マルチコプター・ハイブリッド機
といった様々なタイプの機体が出場します。
- 飛行機タイプ:プロペラによって揚力や推力を得て飛行する航空機
- 飛行船タイプ:機体全体の重量の50%以上を、ヘリウムガスの浮力で支えている航空機
- マルチコプター:複数のプロペラの推力によって揚力を得ている航空機(ドローンの一種)
- ハイブリット機:回転翼や動力駆動するプロペラなど、複数の装置を組み合わせて揚力を得ている航空機
部門について
この大会では、
「一般部門」・「自動操縦部門」・「ユニークデザイン部門」・「マルチコプター部門」
の4部門で競技が行われます。
部門 | 一般 | 自動操縦 | ユニーク デザイン | マルチコプター |
機体 | 飛行機タイプ 飛行船タイプ ハイブリット機 | 自動操縦装置を搭載している機体(マルチコプターは除く) | すべてのタイプ | マルチコプター ハイブリット機 |
競技 内容 | 【メインミッション】 【サブミッション】 ・宙返り ・ポール旋回 ・無動力滑空 ・投下救援物資回収 【加点ミッション】 ・救援物資運搬 | 【メインミッション】 【サブミッション】 ・水平旋回 ・8の字飛行 ・上昇旋回 ・自動離着陸及び 自動投下 【加点ミッション】 ・救援物資運搬 | 決められたミッションはないので、事前に各自で設定して行う。 | 【メインミッション】 【サブミッション】 ・大型貨物運搬 ・Rocking Wings ・8の字飛行 ・耐故障制御 ・自動離着陸 【加点ミッション】 ・高所物資運搬 |
審査基準 | 機体の性能や操縦性 | 機体特性や自動操縦装置の性能 | 将来の航空機の発展に役立つアイデア | 機体の性能や操縦性 |
メインミッションは、「物資投下エリアに救援物資を1つ投下すること」です。
救援物資は毎年大会で決められていて、今年はインスタントラーメン1袋です。
機体への装着方法は決められていないので、参加者が自ら考えます。
物資投下エリアまで落とさずに運び、到着したら投下するという難易度の高いミッションを、
各チームが様々な方法で挑みます。
メインミッションの終了後、サブミッションや加点ミッションに挑戦できます。
飛行ロボコンの特徴
航空機の理解を深める
工学を中心に勉強している学生が、それぞれユニークなデザインや工夫をこらした機体で参加しています。
そのため、自分とは違った視点からのアイデアを楽しむことができ、
新たな発見や発想が生まれると思います。
また、コンテストには高専生や工業高校の学生はもちろんですが、
大学で航空工学を学んでいる学生も出場しているので、
航空機の先進的な技術やデザイン、アイデアなどを学べる貴重な機会になります。
自力で設計する
飛行ロボコンの出場には、
「飛行可能な機体のみ出場できる」という高いハードルがあります。
模型飛行機とはいえ空力設計や軽量な構造設計が求められ、
設計に関する様々な知識が必要になってきます。
学校で学んだ知識だけでは足りないこともありますが、
本やインターネットなどに掲載されている情報を参考に補っていくことで、
設計に関して高いレベルの知識や経験を増やすことができます。
(大会の公式ホームページには、模型飛行機を初めて作る学生向けの「工作の基本」に関する資料が掲載されています。)
ものづくりの基礎
コンテストに出場する機体は、参加者が自ら製作まで行います。
材料の選定や調達から機体の組み立てに至るまで、
ひと通りの作業を行うため、ものづくりの基礎を学ぶことができます。
また、その機体を自ら操縦して競技を行うため、製作サイドだけでなくユーザー視点からも、
ものづくりについて関心を深めることができます。
(大会のホームページには、模型飛行機に使われる材料や工作方法、
ヘリウムの入手方法など機体制作に必要な情報が細かく書かれた資料が掲載されています。)
設計用ソフトの使用
飛行ロボコンでは、CADソフトの「Fusion 360」・「CATIA」、
解析ソフトの「MathWorksソフトウェア」が企業から提供されるため、無料で利用することができます。
また、「Fusion 360」は7日間のオンライン講習を受講できたり、
「CATIA」を最も有効活用したチームには「3DEXPERIENCE 賞」が送られたりします。
これらのソフトウェアは、実際に設計を行う企業でも使用されているものなので、
学生時代に使用できることは貴重な機会になると思います。
まとめ
飛行ロボコンでは、自分で考えた機体を設計から制作まで行ってコンテストに出場するので、
ものづくりの一連の流れを体験することができます。
また、企業の設計・開発の場で用いられているソフトウェアを使用して設計できるので、
就職後の業務に関して知るきっかけにもなります。
そのため、普段の学校での勉強とは違った点で、課題を解決する力や技術的なスキルを養うことができます。
興味のある方は、YouTubeで参加チームが動画審査のために撮影した
飛行動画や過去の大会の映像が掲載されているので、ぜひ一度ご覧になってみて下さい!