世の中には数多くのものづくりに関わる仕事がありますが、その職種は様々です。
今後高専colorでは、ものづくり企業への就職を検討している方の参考となるよう、
ものづくりに関わる職種を紹介していきたいと考えています。
今回はその第一弾として「旋盤工」についてご紹介します。
- 旋盤工とは?
- 旋盤工の仕事内容
- 旋盤工を目指すには
- まとめ
旋盤工とは?
旋盤とは工作機械の一種です。
回転する土台に加工物を取り付け、削り出して円筒形状に加工する機械で、
例えるならリンゴの皮むきのように、手でリンゴを回しながらナイフで皮を剥くような作業を行います。
旋盤工とは、この機械で金属・木材・プラスチック等の切削加工を行う技術者のことをいい、
小さなねじ(工業機械用)から、車のアルミホイールなど身近で見られる様々な製品(部品)の製作に携わります。
旋盤工の仕事内容
仕事内容でメインとなるのは旋盤を利用した金属等の加工です。
旋盤には主に
①技術者の手による加工
②プログラムに基づいた自動加工
の2種類があり、後者で利用する工作機械はNC旋盤と呼ばれます。
NC旋盤とは「Numerically Control」の略で、直訳すると「数値的な制御」という意味になります。
よく企業のホームページ等を見るとNC旋盤という機械の名前を目にしますが、
このような意味があるので知っておくといいかもしれません。
①、②のいずれのパターンで加工するかは、
企業がそれぞれ顧客から求められる製品の種類や数量等の状況によって異なります。
加工方法 | メリット | デメリット |
①技術者の手による加工 | ・特注品(1品)などのオーダーメイドに対応しやすい。 | ・技術者の技術力によって製品の完成度にばらつきがある。 ・大量加工には不向き ・安全面により配慮が必要 |
②NC旋盤 | ・製品の均質化 ・大量加工しやすい ・人の手で困難な形状加工が可能 | 小ロット(少ない注文数)ごとのオーダーには向いていない場合がある |
企業は、顧客のオーダー内容や経営戦略に基づいてこれらの方法を使い分けています。
技術者の手作業による加工の場合は、集中力、忍耐力、細やかさ等が求められますが、
自分の携わったものがあらゆる製品に利用され、ものづくりを支えている実感や、
やりがいを感じることができるのではないでしょうか。
旋盤工を目指すには
高専(または高校)入学の時点で職種の希望が明確であれば、
旋盤の実習が行われるような機械工学系の学科が適していますが、
旋盤の知識がなくても入社後に研修や教育体制を整備している企業もあります。
もちろん旋盤の経験があれば未経験よりアドバンテージは大きいと思われますが、
就職の時点で関連した学科を卒業していないと旋盤工になれないわけではありません。
また、すべての製造業にあてはまるかもしれませんが、
仕事をする上で「ものづくりが好き」であることや「技術力を向上させていく意欲」は大切です。
オーダーメイドなどにより製品を製作することも多く、
顧客から求められるクオリティを実現すべく日々技術力を磨くなど自己研鑽も欠かせません。
就職後の自己研鑽の一例としては資格取得が考えられます。
国家検定制度である技能検定には「機械加工技能士」がありますが、
3級から特級までの4段階に分かれており、技能レベルや実務年数に応じた検定が行われます。
実務経験を重ねていくことで工程管理や、若手の育成を担うことにもなりますし、
資格を取得しておくことで知識・技能の証明になるでしょう。
また、熟練技術者の中には卓越した技能者として「現代の名工」に表彰(厚生労働大臣表彰)される人もいます。
まとめ
旋盤工はものづくりにおいて非常に重要な役割を担っています。
製作した部品は様々な分野で必要とされており、日々技術を磨き上げることで自己成長も実感できます。
ものづくり企業への就職をしたいと考えている方は、
ぜひ将来の選択肢としてこのような職種も検討してみてはいかがでしょうか。